業種:インターネット広告事業
従業員数:1,397名(2024年3月末時点)
エンターテインメントと社会課題解決の2つを軸に、さまざまな事業を展開するDeNA。「技術を活かし、新しい価値を創造する」をテーマに、多様な専門性を持つエンジニアが切磋琢磨する環境。
そんなDeNAが、新卒エンジニア採用に力を入れている理由とは。常務執行役員 CTO 小林篤さん、新卒採用マネージャー 長尾周一さんに、サポーターズ 代表 楓が聞きました。
– なぜ、新卒エンジニア採用に力を入れているのでしょうか?
小林 新卒入社するメンバーの多くは、数年後には事業のキーパーソンとして活躍しているはずです。ですから、DeNAの骨格を成すような人材をしっかりと採用し、育成し、楽しみながら活躍できる環境を整えてきました。
実際、当社では新卒から数年で執行役員に抜擢されたケースもあります。若手が果敢にチャレンジしている姿を見ると、周囲も感化されますよね。こうした積み重ねが、強い組織を作っていくのだと思います。
特に最近の新卒エンジニアは非常に優秀な方が多く、驚くほど成長が速いですよね。人材採用を未来への投資とすれば、新卒エンジニア採用はROI(費用対効果)がものすごく高いのです。
DeNA 常務執行役員 CTO 小林篤さん
ー 選考はどのように進めていらっしゃるのでしょうか?
小林 選考プロセスは、技術選考、ワークショップ面接、最終面接の大きく3ステップです。こちらが選考するというよりは、ものづくりが好きか、DeNAの中で成長していく将来像が描けるかといったところを、学生本人とすり合わせていくようなイメージです。
実は、この選考プロセスに至るまで紆余曲折がありました。
私がCTOに就任した2019年頃、DeNAは経験と勘に頼った採用活動をしていました。毎年何名ほどの学生が応募し、各ステップでどれくらい離脱し、何名が最終面接に進んでくれているのか把握できていませんでしたし、振り返りすらできていなかったのです。そこで、4年かけて、採用活動のデータ化・仕組み化を進めていきました。具体的には、「方針/計画」「ブランディング」「採用/選考」「配属/育成」という4つの大きなテーマを掲げ、どのテーマをいつまでに達成するか決め、ログやデータを収集・分析、振り返り、改善するというサイクルを回すようにしたのです。
2019年10月からは、サポーターズの「1on1イベント」をはじめ、毎週のように外部の採用イベントに参加し、エンジニアを目指す学生たちと直接コミュニケーションを取るようになりました。選考に進んでくれる学生もいて、11月に入ると面接でものすごく忙しくなりましたね。
– 小林さんは、CTOでありながら、なぜそこまで新卒エンジニア採用にコミットしたのでしょうか?
小林 当時はまだ採用チームの体制が整っていなかったこともあり、自分がやるしかないなと。やるからには口だけではなく、自分がプレイヤーとしてコミットしなければ何も変えられません。一時は業務時間の3、4割を新卒採用に充てていましたね。
– 長尾さんは当時から数少ない採用チームのメンバーだったのですね。
長尾 はじめは結構しんどかったです(笑)。でも、小林が良い意味でどんどん要求レベルを上げてリードしてくれたので、「採用によってものづくりを強化する」という目標に向かって一丸となって突き進むことができました。
小林 採用チームのミーティングでは、「これは何の数字?」「この根拠は?」とか、かなり深いところまで掘り下げて議論していましたね。妥協は一切しませんでした。
長尾 私は、そんな小林の姿勢に一番刺激を受けたかもしれません。「CTOがここまでやっているんだから、私がやらない理由はない」って。
– 戦略的な新卒エンジニア採用にシフトして、どのような変化がありましたか?
小林 内定承諾率がかなり上がりました。私も驚いているのですが、今年度の内定承諾率は約70%です。
– すごいですね! 普通は50%いけば良い方だと思います。内定承諾率が上がったのは、なぜだと思いますか?
長尾 採用チームの行動指針の一つとして、「学生の人生にコミットする」を掲げたことが大きいと思います。
大前提として、最後にDeNAを選んでくれるかどうかは、その人がやりたいことと、DeNAが提供できることがマッチするか否かにかかっています。しかし、選考の過程で、DeNAの事業内容や育成、挑戦への考え方など、うまく伝わっていないように感じることが多かったんです。
そこで、選考が進むにつれて、DeNAについてより深く知ってもらえるようなイベントなどを増やしていきました。最終面接の前には、学生一人ひとりにHRメンターがつき、DeNAに入社することだけにこだわらず、より良い選択を探っていくコーチングに近いことをしています。DeNAが提供できること、学生のやりたいことがしっかり言語化され、共有されている状態になる。結果として、内定承諾率の向上につながっているのだと思います。
DeNA 新卒採用マネージャー 長尾周一さん
– 学生からすると、「先輩たちが自分の人生に寄り添ってくれている」という感覚になるでしょうね。
長尾 ですから、一度は他社を選んだとしても、お互いにコミュニケーションを続ける中で、最終的にはDeNAに入社してくれたケースもあります。
小林 長尾さんをはじめ今の採用チームは、「その人にとって本当に良い意思決定をするために、私たちにできることは何だろう」というのを常に考えて行動していますね。
– サポーターズでは主に「1on1イベント」をご活用いただいています。一人の学生とお話できる時間は30分ほどです。何をゴールに臨んでいらっしゃるのでしょうか?
長尾 「1on1イベント」は、DeNAのことをしっかり知ってもらう機会と捉えています。全員に同じ話をするのではなく、一人ひとりの質問や気になっていることに沿って答えていきます。
小林 以前、私が「1on1イベント」に出まくっていた理由の一つが、「1on1イベント」をハックすることだったんです。当時、DeNAの採用力が落ちていて、「改善しなきゃいけないけれど、何が悪いのか分からない」という状態で悩んでいました。そこで、他の企業が「1on1イベント」でどんな話をし、学生とどのようなコミュニケーションを取ろうとしているのか見て、自分なりの答えを探ったんです。
最後に「行きたいと思っている企業」「いいと思った企業」のスコアを出してくれるんですよね。あれがまさに自分の中ですごいハックで。
「今回はこういう話をして、この部分は良くなった。じゃあ、ここを改善するためにどうすれば……」という感じで、毎回のように会社説明の資料を作り直し、ブラッシュアップしていきました。PDCAサイクルが非常に回しやすかったんです。これがきっかけとなって、学生への伝え方、社外に発信するメッセージなど、どんどん応用を利かせることができるようになりました。
– 採用とは別に、未来の “技” 術者を “育” てる「技育プロジェクト」にも初年度から参画してくださっています。
小林 「技育プロジェクト」には、非常に共感しています。私たちも、新卒エンジニアを採用したいと言っているだけではなく、エンジニアを育てる側に回っていかなければならないと思っています。
オープンソースの考え方に近いのですが、採用・育成のノウハウを共有資産とし、「技育プロジェクト」に参加する企業が協力して進化していけると、「エンジニアが足りない」という今の社会課題に風穴を開けることができると思うんです。
これまでの採用活動は、どこかで誰かが育てた実を、季節になったら勝手に収穫して「まだ足りない。もっとよこせ」と言ってるようなもの。そうではなくて、自分たちで畑を耕し、種を蒔き、水を与えて、皆で育てていくのが本来あるべき採用の姿。そんな活動を少しずつでも企業はやっていくべきだと思うんです。
エンジニアって本当に面白い。その魅力を知ってもらったうえで、「憧れの職業」として目指す人が増え、世の中がより良くなる――そんなサイクルを作っていけたらと思っています。
株式会社サポーターズ 代表取締役
楓 博光
慶應義塾大学在学中に就活支援会社を創設し、人事ブログポータルサイトや就活イベントを運営。大学卒業後は大手広告代理店を経て、ベンチャー企業の採用担当として無人島インターンシップなどを生み出す。
2012年4月にITエンジニアのキャリアを支援する株式会社サポーターズを創業。これまでに約1000社の新卒エンジニア採用支援、約7万人の学生エンジニアのキャリア支援を行う。
著書『ゼロからわかる新卒エンジニア採用マニュアル』。
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