業種:メーカー
従業員数:124,000名(2024年3月末時点)
私たちに身近なサービスを数多く手がける富士通。実はここ数年で、働き方やエンジニアを取り巻くカルチャーが大きく変わっています。
富士通 EmployeeSuccess本部 人材採用センター マネージャー 鈴木淑子さんに、サポーターズ 代表 楓が聞きました。
鈴木 富士通は、DXを推進するグローバル企業です。世界経済フォーラムで議論されている「カーボンニュートラル」や「持続可能な社会」の実現は、富士通にとっても大きなテーマです。これからの社会をどう作り上げていくべきか、クロスインダストリーで挑戦しています。
富士通 EmployeeSuccess本部 人材採用センター マネージャー 鈴木淑子さん
少し大きな話をしましたが、みなさんの身近なところでは、小売や物流、金融、医療、官公庁、自治体といった社会インフラの構築にも携わっています。その他、JRA日本中央競馬会の競馬場のキャッシュレス化、小惑星探査機「はやぶさ2」の軌道決定システム、地域気象観測システムの構築なども行っています。
– 私たちの暮らしの中には、「普段は意識することなく使っているけれど、実は富士通が作っていた」というものがたくさんあるんですね。
鈴木 そうなんです。でも、学生の皆さんに話を聞くと、「富士通=パソコンの会社」というイメージが根強く残っていることを実感します。テレビCMや家電量販店でも展開していたからかなと思いますが、事業としての割合はテクノロジーでお客様の変革を推進するソリューションビジネスが中核を担っています。
学生の皆さんには、産業の現場から暮らしに欠かせないサービスまで幅広く展開していることを、もっとアピールしていきたいです。
– エンジニアにとって、富士通で働く面白さは何だと思いますか?
鈴木 影響度の高い仕事ができることです。例えば、大手メーカーのシステムに携わり、日本の技術力を世界に発信することに貢献したり、政府と連携してデジタル社会を構築する根本部分を作ったり、社会を変えるようなインパクトのある仕事を手がけることができます。
誰もやったことがない、未知の世界に飛び込んでいくこともあります。それが大きなプロジェクトであればあるほど、富士通だけでは成し遂げられないことが圧倒的に多くあります。国や組織の壁を越え、力を合わせていくことになりますが、越えなければならないハードルが常にいくつもあるのが実情です。
– それが課題でもあり、大きな魅力でもあるということですね。
鈴木 その通りです。トライしたいという方には、非常にエキサイティングな環境だと思います。
– ソリューションビジネスというと、「お客さまに言われたモノを作る」というイメージを持つ学生も多いと思います。実際はどうなのでしょうか?
鈴木 私たちの仕事では、「お客さまがやりたいことの幅を広げる」という観点が必要になってきます。
– それは、どういうことでしょうか?
鈴木 私たちが作っているものには、お客さまを通して、エンドユーザーの方々が利用する製品やサービスも数多くあります。そこには、「お客さまが描く未来をどう実現するか」という視点が強く求められますし、お客さまと共にエンドユーザーのことを考え抜く必要があります。
つまり、エンジニアは開発の知識を持ちながら、お客さまにどんどん提案していく能力が求められます。単なる御用聞きではなく、一緒に考え、提案し、実現に動く。これが、私たちの目指しているところです。
– 入社後のエンジニアのスキルアップに関しては、どのような取り組みをされていますか?
鈴木 実は2年ほど前から、エンジニアの技術力向上を目的に、入社後2年間は開発や運用にしっかりと入り込む期間を設けています。
具体的には、「ジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)」という部署で、特定の技術・領域、特定のお客様に限らず、いくつか、領域の異なるプロジェクトに参画するチャンスを設け、エンジニアとしての経験を積んだ上で、その後のキャリアを自分で選択することができるかたちをとっています。
– 自分で選択できるんですか?
鈴木 そうです。基本的には2年間のJGGでの経験を終えたら、その後はエンジニアリングを極めるもよし、よりお客様に近いフロント側に移って新たな経験を積むのもよしです。
– なぜ、JGGからのキャリアスタートのかたちをとっているのですか?
鈴木 富士通は、プロジェクトマネジメントを担う機会が多いのですが、プロジェクトを的確に統括するには、プロジェクトマネージャー自身に技術力や経験値が必要だと考えているからです。
一方、JGGの設立は新入社員育成のためだけに進めたものではありません。人材やスキル、技術が固定化されてしまえば、変化の激しい顧客ニーズに対応できないばかりか、人材の成長の機会も限られてしまいます。
JGGは、海外に8拠点あるGDC(Global Delivery Center)のメンバーとともに、グローバルに13万人いる富士通グループの人材で、大部分の開発を進めていこうという取り組みでもあります。世界中にいる富士通グループの人材の情報やPJ案件を全社管理することが出来れば、案件の特性と人材スキルをマッチングさせながら、最適なプロジェクト体制を、迅速に立ち上げることが可能になります。
社員は、自分のキャリアを見つめながら、様々な経験を積むチャンスを得ることができるようになります。
– ここ2、3年で、富士通のカルチャーやエンジニアの働く環境が、大きく変わってきた印象があります。
鈴木 ものすごく変わりました。「自律」と「信頼」をキーワードに、自分の生活リズムに合わせて、働く時間や場所のコントロールがしやすくなりました。もちろん服装も自由です。服装に関しては、富士通の大きな変革の開始と同時、つまり、現社長の時田が就任した直後に「今日からドレスコードをフリーにします」というメッセージを発信したんです。
自らキャリアを描くこと、例えば、受けたい教育や経験したい業務も自分で選択できるようになりました。社内インターン制度「JOBチャレ」や、新たなポジションに自ら応募する「ポスティング制度」も活発に活用されており、今ではグループ全体で、年間のべ7000人の社員がポスティングにチャレンジしています。
富士通の良いところは、いろいろな選択肢があるということだと思います。プロジェクトの規模も開発手法もさまざまですし、他社との協業や、未来の社会がどうあるべきかを描きながら、新たなサービスを生み出すことを目指す部署もあります。
富士通 EmployeeSuccess本部 人材採用センター マネージャー 鈴木淑子さん
– なぜ、一気に変わることができたのでしょうか?
鈴木 CHROの平松が「フルモデルチェンジ」を宣言したんです。これまでも何度か人事制度改革にチャレンジしてきましたが、なかなかうまくいきませんでした。結局、一部だけ変えても整合性が取れず、元に戻ってしまったんです。抜本的な改革を断行したことで、みんなが一生懸命に食らいつく形で、一気に変えることができました。
– 変革を進める上で、富士通の皆さんが大切にされていることはありますか?
鈴木 経営層が変革の方向性を示し、社員が「自分こそがやりたい」と手を挙げて参画する。つまり、トップダウンとボトムアップの両軸がないと変革は難しいと思います。
あとは変革の指標です。何がどう変わったのかデータで見える化し、フィードバックしながら進める必要があります。もちろん課題もたくさん出てきます。そんなときは、どう対応するか都度考えて乗り越えていくしかないと思っています。
– 学生のうちから富士通で働く楽しさを感じられる機会はありますか?
鈴木 富士通では、毎年インターンシップを実施しています。実は今、それを拡大していこうと動いているところです。学生の皆さんに富士通の仕事を体験していただき、自分にマッチしているかしっかり見極めた上で、チャレンジするかどうか考えていただきたいと思っています。
– 他社のインターンシップと比べて、富士通のインターンシップにはどんな特長があるのでしょうか?
鈴木 夏休みを利用したSummerインターンシップは、昨年実績で100を超えるテーマをご用意しています。その中から自分にフィットするテーマを選んで取り組んでいただきます。
また、Summerインターンシップよりも長期間実施するProfessionalインターンシップはさらに実践的です。こちらは実際に雇用契約を結び、契約社員として働いていただきます。
もちろん学業に影響がないよう勤務時間をコントロールしながら、昨年は約30人の学生の皆さんに参加していただきました。
– すごく貴重な経験になりそうですね。
鈴木 富士通はまだ変化の途上です。ただ、今の富士通は「変わろう」とする機運が非常に高いのです。「会社を変えたい」「自主的に動きたい」「お客さまのことすらも変えていきたい」と思っている方にとって、どんどんトライできる環境です。
– ひと昔前だと、日本の大企業には「出る杭打たれる」みたいなイメージがありましたが、富士通は全然そんなことはないのですね。
鈴木 そうですね。富士通には、チャレンジする人たちを後押しする制度もカルチャーもあります。ぜひインターンシップなどに参加して、体感していただけたらと思います。
株式会社サポーターズ 代表取締役
楓 博光
慶應義塾大学在学中に就活支援会社を創設し、人事ブログポータルサイトや就活イベントを運営。大学卒業後は大手広告代理店を経て、ベンチャー企業の採用担当として無人島インターンシップなどを生み出す。
2012年4月にITエンジニアのキャリアを支援する株式会社サポーターズを創業。これまでに約1000社の新卒エンジニア採用支援、約7万人の学生エンジニアのキャリア支援を行う。
著書『ゼロからわかる新卒エンジニア採用マニュアル』。
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