エンジニアから選ばれる採用広報術とは?
”どんどん人を採用しにくくなっている”という厳しい人材市場の中、特にITエンジニアの求人倍率は、群を抜いて高くなっています。
求職者は、エージェントや求人媒体など、数多くのチャネルを介してたくさんの求人情報に触れてる状況です。また、「価値観や目指しているものに共感できる会社に行きたい」というのが求職者の考えであり、企業が人材を選ぶだけでなく、選ばれる時代となりました。
そんな中、価値観に共感できる企業かどうかの判断材料として、会社の知名度や採用情報、仕事の内容だけでは十分とは言えません。会社が目指しているものやカルチャー、どんな人が働いていてどんな組織なのか、社会にどういう価値を提供しているのかといった情報も重要となってくるのです。
目次[非表示]
- 1.採用広報の役割
- 1.1.これから求められる採用広報
- 1.2.採用広報によくある勘違い
- 2.エンジニア採用の市況感と採用広報の重要性
- 2.1.ITエンジニアの採用市場
- 2.2.エンジニア採用と採用広報
- 3.エンジニアが着目するポイントと広報方法
- 4.広報手法
- 5.多様化する採用広報手法6つ
- 5.1.1.カンファレンスへの協賛
- 5.2.2.自社イベントの開催
- 5.3.3.研修資料の公開
- 5.4.4.テックブログの運用
- 5.5.5.技術書の出版
- 5.6.6.SNSでの発信
- 6.サポーターズのエンジニア育成プログラム「技育プロジェクト」
採用広報の役割
求職者からの共感を増やすためには、求人媒体からの情報だけでは補えない部分があります。そこで重要なのが採用広報です。
採用広報は、求職者が就職活動をしていない時期から就職活動、そして内定承諾に至るまでの全期間に関わります。上図のように、全期間のカスタマージャーニーの中で、求職者の意思決定を後押しする効果が期待できます。
これから求められる採用広報
2023年のZ世代である就活生の中では「企業のビジョンやミッション」に関するコンテンツが注目されました。
Wantedlyが22年に行った「企業のパーパスと採用に関する調査」では、「これからはパーパスを重視して就職・転職したい」と回答している人が85%という結果になりました。
つまり、現在の採用広報では、求職者が「どれだけその企業のミッションやビジョンに共感できるか」が重要な基盤となってくると言えます。
これまでの形式的な採用情報を発信するだけではなく、実際に働く人のエピソードや入社前と入社後のギャップ、企業が大切にしている価値観、企業文化など、リアルな声をコンテンツ化し、入社後のイメージがリアルに想像できるような情報を発信することが重要です。
出典:Wantedly|ウォンテッドリー、企業のパーパスと採用に関する調査結果を発表
採用広報によくある勘違い
採用広報に関するよくある勘違いについてご紹介します。
1.自社が伝えたいことを発信すれば良い
ただ自社の伝えたいことを発信するのではなく、求職者に刺さるコンテンツであるかを十分に考えたうえで発信する必要があります。
2.新しいことをたくさん始めなければならない
新企画だけが必ずしも重要ではありません。自社が求める求職者やターゲットに刺さるコンテンツを届けることが大切です。
3.短期的な応募増加や内定増加に直結する
採用広報は”支援魔法”です。あくまでも採用活動をカバーするものですので、直結的な効果を求めることは控えましょう。
4.従業員の多い企業だけが取り組むもの
採用広報という戦略が自社にマッチしているかどうかは必ずしも従業員数だけでは決まりません。採用広報に注力するのではなく、採用イベントに出展することやエージェントを増やすことが最適な場合もあります。
エンジニア採用の市況感と採用広報の重要性
IT人材不足による有効求人倍率は継続しており、中でもITエンジニア職は有効お求人倍率が高い職種です。
ITエンジニアの採用市場
IT人材不足は継続し、2030年には最大で約80万人もの人材が足りなくなる※と言われています。
エンジニア職の新卒採用市場について、就職活動をする学生は年間で40万人ほどいます。そのうち約5パーセント(2万人程度)が情報系の学生といわれていますが、実は情報系学生の数は10年前から横ばいです。
参考:経済産業省|IT 人材需給に関する調査
多くの企業の採用ターゲットになりやすい、授業以外の趣味で継続的に制作物を作っていたり、インターンでの開発経験があったりする学生数はさらに限られ、2000人程度しかいません。
現在、このトップ層である2000人を、各社が奪い合っている状況です。
とある企業では年収1000万円のオファーを出したり、メガベンチャー企業でも初任給が500万円以上からスタートしたりと、熾烈な争いが発生しています。
エンジニア採用と採用広報
新卒・中途に限らず、エンジニア採用においても、エージェントを介さず自社を知ってもらう努力が必要になってきています。
実際のデータからも読み取れるように、転職のたびに毎回エージェントを利用する人は、全体の2割ほどにとどまっています。
転職経路を見ると、PULL型の経路が目立ち、PULL型・PUSH型問わずスカウトやリファラルを行う際も、そもそも知ってもらうことが前提になってきている状況です。
難易度の高いエンジニア採用の市場で戦うためには、採用だけではなく、手前の採用広報と連携し、入口から承諾まで一気通貫したアプローチが必要です。
採用と採用広報の連携ができると、エンジニア職だけではなく、ビジネス職の採用にも有効となってくれるでしょう。
エンジニアが着目するポイントと広報方法
新卒・中途でのエンジニアが注目するポイントについて見てみましょう。
新卒学生が重視する項目では「エンジニアとして成長するきっかけが多い」ことがトップとなりました。
「新しい挑戦を行いやすい」「技術力の高いエンジニアが集まっている」という項目も上位にあることから、技術的な挑戦を重視していることが伺えます。
中途の転職理由では「収入アップのため」が圧倒的1位となりました。この項目はエンジニア職だけではなくビジネス職にも当てはまる内容です。
「キャリアアップのため」「技術スキルを伸ばせないと感じた」など、成長・挑戦関連の項目が上位にあるのは、エンジニア職ならではではないでしょうか。
広報手法
採用広報には様々な手法があり、数ある中から正しい手法を選ぶことが重要です。
手法を選定するためには、3つのポイントがあります。
1.ターゲットがマッチしているか
ターゲットが不確定な状態で施策をしたり、刺さらないコンテンツを発信しても効果が期待できません。
まず初めに、自社が求めるターゲットを見極め、ペルソナ設定を行いましょう。
就業差別につながる質問、いわゆる”面接のNG質問”を控える理由は、以下のような問題を避けるためにあります。
2.自社のリソースで実現可能か
採用広報はあくまで支援魔法であるため、短気的な効果を狙うのであれば直接アタックするなど他の手段を優先した方が良いケースもあります。
3.効果測定しやすいか
どこにKPIを置くか・どう測定するかなど、効果測定ができ振り返りしやすいツールを取り入れましょう。
具体的には、以下のような質問が就職差別につながるおそれがあるとされています。
多様化する採用広報手法6つ
次に具体的な採用広報の手法についてご紹介します。
1.カンファレンスへの協賛
各言語のカンファレンスや当社が開催する学生向けのテックカンファレンス「技育債」などが例に挙げられます。
カンファレンス協賛の効果を最大化するためには、戦略や仕込みが重要です。例えば、言語ごとのカンファレンスを行うのであれば、事前にテックブログで言語に対してどのように会社で活用しているかを発信します。カンファレンス当日についても、自社が求める人材ターゲットを決め、そのターゲットにマッチ・刺さるようなコンテンツ作りを心がけましょう。
2.自社イベントの開催
企業事例を挙げると、株式会社ディー・エヌ・エーや株式会社サイバーエージェントが数日間に渡る大規模なテックカンファレンスを開催しました。テックカンファレンスを自社開催することのハードルが高い場合は、お寿司パーティ、LT会など、気軽に開催できる小規模なイベントもオススメです。
エンジニアに興味を持ってもらうためには、オーガナイザーとしてエンジニアが誘いやすくなる場所や機会を作る工夫が必要です。
3.研修資料の公開
新卒採用において、最近では一般化しつつあるアプローチ法です。先述した通り、エンジニア学生は成長できる環境や技術的な挑戦を重視しています。
入社したらどういった研修が受けられるのか、成長イメージが持ちやすくなるという点で、研修資料の公開は良い施策となるでしょう。企業側として既存の資料をチューニングして出すだけで良いので、比較的工数がかからないという点がメリットです。
4.テックブログの運用
エンジニア向けの採用広報の定番手法です。会社ホームページやブログは事業にフォーカスした内容がほとんどですが、テックブログでは技術を切り口として会社について発信します。
自社の技術に関する対応事例やサービス導入事例などを発信すれば、会社のエンジニアチームが日々どのような業務をしているのかが理解でき、求職者にとっても働くイメージが湧くでしょう。
5.技術書の出版
株式会社CARTA HOLDINGSの事例を挙げると、同社が監修した技術書が「ITエンジニア本対象2021」の技術書部門大賞を受賞し、話題となりました。
クオリティの高いものであれば拡散されるため、就職活動や転職活動を行っていないエンジニアにもリーチできます。
6.SNSでの発信
情報を発信する経路や手段いわゆる"チャネル”がなければ、優良なコンテンツを作ってもターゲットへ届けることができません。時には、社内外を巻き込むなど、戦略的に考える必要があります。
最近では、生成AIを使ったユニークな画像を投稿、エンジニアチームでの大喜利の様子を発信するなど、SNSならではのカジュアルな投稿も多く見受けられます。
ただし、告知等のまじめな投稿もしっかり読んでもらえるよう、上手な使い分けを心がけましょう。
▼以下資料では、noteを使った採用広報の成功事例をご紹介しています!
サポーターズのエンジニア育成プログラム「技育プロジェクト」
本記事では、採用広報について概要や手法をご紹介しました。
採用活動が激化する中、採用広報は欠かせない施策のひとつです。採用広報には様々な手法がありますが、自社のリソースの把握や求めるターゲットに応じて最適な手法を選びましょう。
サポーターズでは、未来の「技」術者を「育」てるプログラムとして「技育プロジェクト」という活動を行っています。
「技育プロジェクト」にスポンサーとして参画することで、大学1~2年生を含む、優秀学生と定期的に出会えます。エンジニア学生向けの採用広報に取り組みたいとお考えの企業様は、ぜひご相談ください。