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エンジニアインターンシップ完全攻略ガイド|企画案39選&実践手順

IT業界の変化とともに、需要が高まっているITエンジニア。しかし、日本国内エンジニア不足が深刻であり、人材獲得は簡単ではありません。
そこで注目されているのが、インターンシップを通じた早期採用です。

本記事では、エンジニアインターンシップの企画アイディアや具体的な開催方法を紹介します。
これから採用活動を始める方や、インターンシップの内容に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

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目次[非表示]

  1. 1.事前に押さえておくべき基礎知識
    1. 1.1.エンジニア職の需要増加
  2. 2.就職活動の早期化
    1. 2.1.学生がインターンシップに参加する目的
  3. 3.エンジニアインターンシップ企画案集
  4. 4.インターンシップにかかる費用
    1. 4.1.学生への給与
    2. 4.2.学生の交通、宿泊費
  5. 5.インターンシップを行う手順
    1. 5.1.現状分析
      1. 5.1.1.SWOT分析
      2. 5.1.2.クロスSWOT分析
    2. 5.2.採用KGI・KPIの設定
    3. 5.3.採用KGIの設定
    4. 5.4.採用KPIの設定
    5. 5.5.歩留まり率の設定
    6. 5.6.ターゲット、ペルソナの設定
    7. 5.7.内容、期間の設定
    8. 5.8.募集方法の設定
    9. 5.9.選考の実施
    10. 5.10.効果測定
  6. 6.まとめ


事前に押さえておくべき基礎知識

エンジニア就活生は、一般的な就活生と動向が異なります。
まずは「エンジニア採用の現状」「インターンシップに参加する学生のニーズ」から、エンジニア就活生の動向を確認しましょう。

エンジニア職の需要増加

ITエンジニアの有効求人倍率

※参考:doda 転職求人倍率レポート(2022年5月)

dodaが発表した「転職求人倍率レポート(2022年5月)」によると、エンジニアの有効求人倍率は10倍であり、全職種平均と比較して高い水準にあります。
理由として、IT業界の進化によりエンジニアに対しての需要が増したことや、エンジニア求職者が少ないことが挙げられます。

こういった採用競争の激化によりインターンシップを経由した採用活動を活発に行う企業が増えています

※関連記事
「エンジニア不足」について本気で考えてみませんか?

就職活動の早期化

エンジニア就活生の就職活動の開始時期

レバテック株式会社がエンジニア就活生を対象に行った調査によると、25年卒学生の6割以上が23年の6月以前に就職活動を開始しています。

学生がインターンシップに参加する目的

学生のインターンシップ参加には、下記理由が挙げられます。


順位

理由

回答比率
1位

選考優遇をもらうため

23.9%

2位

仕事内容が自分に向いているかを確かめるため

20.0%

3位

業界理解を深めるため

17.9%

4位

職種理解を深めるため

15.7%

5位

本選考前の予行練習として経験を積むため

12.1%

参考:株式会社ワンキャリア
【2026年卒 就活実態調査】インターンシップへの参加目的は「選考優遇」が多い一方、「仕事の向き・不向きの確認」をしたい傾向が高まる

株式会社ワンキャリアが行った調査では、インターンシップに対して期待することは学生によってかなり意見が分かれるようです。
その中でも「選考優遇をもらうため」が23.9%と高い割合を占めています。

そのため、インターンシップを行う際には早期選考などの選考優遇制度を検討しましょう。

エンジニアインターンシップ企画案集

実践形式

  • 自社の新規開発業務
  • 自社製品の改善点を抽出
  • 既存サービスの整備、修正
  • プログラミング、マークアップ言語等の基礎的な講義
  • 講義形式で同じ成果物の作成
  • OJTによる課題の提供
  • ハンズオン
説明会
  • 会社説明会
  • 業務内容説明

座談会
  • エース社員による座談会
  • 人事による座談会
  • 質問会
問題発見・解決能力
  • 自社が保有する顧客データの分析
  • 矛盾発見課題ワークショップ
  • 既存自社製品の問題点、改善点を見つけるワークショップ
コミュニケーション・ヒアリング
  • 他己紹介
  • 現場社員との1on1
  • 人事との1on1
チームビルディング
  • 自己振り返りワークショップ
  • キャリアデザインワークショップ
  • グループワークショップ
  • 他己紹介
  • チェックイン
  • ジョハリの窓ワークショップ
  • おえかきワークショップ
  • ワールドカフェ
  • ブレインストーミング型ワークショップ
  • ワークスタイルトランプ・クラウド
  • マシュマロ・チャレンジ
  • マインドフルネスワークショップ
  • ワールドリーダーズ
  • ビズストーム
  • WIND&ANCHOR(※1)
  • Where I’m from ポエム(※2)
  • 陽口ワーク(※3)
ビジネスマナー
  • マナーファイト
  • 現役先輩社員の業務見学
  • 基本的なビジネスマナー講座
  • ロールプレイング

※1:WIND&ANCHOR…参加者のモチベーションとそれを妨げる要因を発表するワークショップ
※2:ブレインストーミング型ワークショップ…テーマに対して自由に意見を出し合うワークショップ 批判、否定的な意見はご法度
※3:陽口(ひなたぐち)ワーク…陰口の反対の意味。様々な角度から称賛しあうワークショップ

インターンシップにかかる費用

インターンシップを実施する上で、企業は様々な費用を負担する必要があります。
これらの費用は、大きく「内的要因」「外的要因」の2つに分類できます。

費用に関しては、企業規模によって異なるため、ここでは明確な定義はしません。

内的要因「社内でかかる費用」

  • 学生への支給
    • 交通費
    • 宿泊費
    • (支払う場合)学生への給与など
  • 雑費(備品や消耗品など)
  • 社員への人件費


外的要因「社外でかかる費用」

  • 求人掲載費用
  • スカウト媒体
  • 採用管理システム
  • Web面接ツール等の利用料
  • (社外で実施する場合)会場費
  • パンフレット制作費
  • 学生の飲食代

外的要因は、自社の予算に合わせて対応しましょう。 
ここでは内的要因のひとつである学生への金銭的な支援についてお話します。

学生への給与

インターンシップの種類によって、給与の支払いが必要かどうかは異なります。
給与は一般的に時給1000〜1500円程度とされています。

学生の交通、宿泊費

株式会社リクナビが行った調査によると、インターンシップ参加者に対して交通費の支給をすると答えた企業は全体の約7割でした。

また、支給される場合も支給上限額が決められている企業が全体の7割、決められている企業のうち1000~3000円が全体の約4分の1と高い割合でした。
※参考:株式会社リクナビ|インターンで交通費は出る?いくら支給される?

インターンシップの報酬について

インターンシップを行う手順

インターンシップは、以下の7ステップで取り組みます。

  1. 現状分析
  2. KGI・KPIの設定
  3. ターゲットの設定
  4. ペルソナの設定
  5. 募集方法を決める
  6. 選考を行う
  7. インターンの実施、効果測定をおこなう


現状分析

インターンシップを行う目的を設定する前に、現状分析を行いましょう。
自社の現状を理解したうえで目的を設定することにより、より明確な目的を設定できるからです。自社の現状分析を行う例として、SWOT分析があります。

SWOT分析

SWOT分析とは自社の製品や技術力、体制といった内部環境と市場や社会、競合他社といった外部環境を分析するためのフレームワークです。

4つの視点から強みを最大限伸ばし、弱みを克服する戦略を組み立てることができます。

  • 強み(Strengths)
    • 自社の技術力や業界での地位、企業文化など、学生にアピールできる強みを洗い出す
  • 弱み(Weaknesses)
    • インターンシップの運営体制、指導体制、学生へのサポート体制など、改善が必要な点を洗い出す
  • 機会(Opportunities)
    • インターンシップを通じて、優秀な学生と早期に接点を持つ機会を最大限に生かす
  • 脅威(Threats)
    • 競合他社とのインターンシップの差別化を図り、優秀な人材獲得の採用競争に挑む

クロスSWOT分析

SWOT分析の応用として、クロスSWOT分析という手法があります。

クロスSWOT分析とは、内部環境と外部環境、強みと弱みを掛け合わせて戦略を立案するフレームワークです。SWOT分析で現状を把握し、クロスSWOT分析で将来の戦略を考えることで、より効果的な事業計画を立てることができます。

  • SO戦略(強み×機会)
    • 自社の強みを活かし、機会をどのようにつかむかを検討する
  • ST戦略(強み×脅威)
    • 自社の強みを活かし、脅威をどのように回避するかを検討する
  • WO戦略(弱み×機会)
    • 自社の弱みを補強し、機会を活化せるように改善する
  • WT戦略(弱み×脅威)
    • 自社の弱みを補強し、脅威から受ける被害を最小限に押さえる

採用KGI・KPIの設定

次に、インターンシップの目的を達成するために、採用KGI・KPIを設定しましょう

採用KGI・KPIとは、目標達成を測る指標のことで、具体的には以下の通りです。

KGI(Key Goal Indicatorの略/重要目標達成指標)
=売上高、採用人数などの最終目標


KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)
=KGIを達成するための過程、指標

採用KGIの設定

目的を具体的な数値に落とし込むために、採用におけるKGIの設定をしましょう。

KGIは簡単に言うとインターンシップを行う最終目標にあたるものなので、現状分析から最も優先度の高い事項を設定する必要があります。

例としては、

  • インターンシップ経由で〇名自社に入社する
  • インターンシップ参加者のエンジニア職志望者数を〇%増やす
  • インターンシップ経由内定者の内定承諾率が〇%以上

などです。

採用KPIの設定

採用KGIの設定について

採用KPIは、採用KGIから逆算して設定することで、目的に対しての進捗状況が可視化され、問題点を見つけやすくなります。

例として「インターンシップ参加者から4名採用」をKGIとします。
そこから逆算して、最終的に4名採用できるように考えましょう。そのうえで重要なのが歩留まり率の設定です。

歩留まり率の設定

歩留まり率とは、各選考ごとの通過率を指します。上の表の吹き出し内にあるパーセンテージが歩留まり率です。

「選考通過者」÷「選考対象者」×100=歩留まり率
上記例から 
インターンシップ参加者30名÷応募者100名×100=歩留まり率30%

上記例の場合、複数の内定を得ている候補者は、他社へ流れてしまう可能性も考慮する必要があります。そのため、内定を出した後もアフターフォロー(内定者フォロー)を行うことが非常に重要です。

※関連記事
内定者フォローはなぜ必要?施策も合わせて徹底解説

ターゲット、ペルソナの設定

次にインターンシップに参加してほしいターゲット層をを明確にしましょう。ターゲットの設定は複雑なので関連する用語の定義から始めます。

ペルソナの設定について

【戦略ターゲット】
リソースを投下する大きな対象
例:プログラミング経験のある学生

【コアターゲット】
特に重点的にリソースを投下する対象
戦略ターゲットの中にも様々なニーズをもった消費者がいるため、ニーズごとに複数作ることが多い
例:授業以外でもプログラミングを学習している意欲的な学生

【ペルソナ】
コアターゲット内の具体的な人物像
例:大学3年生のサマーインターンシップから就活を本格化させたいと考えている。就活を有利に進めるために、インターンで実務経験を積みたい。


インターンシップの企画難易度は、このコアターゲット、ペルソナの設定によって変わります。コアターゲットの中でもニーズを捉えるためにペルソナを複数用意することもあります。ぺルソナの設定では、まずデモグラフィック(人口統計学的属性)とサイコグラフィック(心理学的属性)それぞれの設定をするのが望ましいでしょう。

デモグラフィック(人口統計学的属性)

項目
学年

大学3年生

学部・学科
理工学部 機械情報工学科
資格
基本情報技術者資格
居住地
都内

サイコグラフィック(心理学的属性)

項目


性格

社交的な性格

価値観
健康に関心がある
ライフスタイル
自炊をよくする
好み
ゲームが好き

内容、期間の設定

サポーターズがエンジニア就活生に向けて行った定量調査によると、インターンシップの開催期間は、就職意向に影響を与える重要な要素であり、1~3週間が最も効果的でした。予算や時期にもよりますが、この期間を目安に設定することをおすすめします。

インターンシップの内容については、先述した企画案集を参考にしてください。

エンジニア就活生に向けて行ったインターンシップに関する定量調査

募集方法の設定

募集方法として用いられるのは以下の通りです。

  • エンジニアスカウトサービスを行っている企業での募集
  • sns発信での募集
  • キャリアセンター等、大学内での募集
  • 自社のWebサイトでの募集

先述した通り、エンジニア採用は倍率が高いため、難しくなっているのが現状です。そこで、おすすめなのがエンジニア採用特化企業です。
エンジニア就活生に特化した企業のスカウトサービスを利用することで、インターンシップに参加したい学生を募集できます。

※関連記事
エンジニアスカウトサービス7選|返信率アップのチェックリスト公開!

選考の実施

インターンシップの選考で一般的なのは、ES(エントリーシート)の提出→面接→インターンシップ参加という流れです。

選考を行う上で大事なのは以下2点です。

  • 見極め(入社した後活躍してくれるか)
  • 動機付け(自社に入社したいと思ってくれるか)

ESの質問事項は、自社が求める人物像か的確に判断できる設問にしましょう。


例えば、学生時代に熱中した経験や、モチベーションの根源を伺う内容です。また、インターン応募数に応じて設問数を変えることも有効です。応募数が少ない場合には設問を絞り、多い場合には深掘りできる設問を加えるなど、応募数に合わせて対応しましょう。

インターンシップに参加できなかった応募者へのフォローも忘れずに行いましょう。本選考に挑戦してくれる可能性があるためです。具体的なフォロー方法としては、選考通過しなかった応募者向けのオンライン座談会や電話での丁寧な結果伝達などです。

効果測定

インターンシップは一度限りで終わるものではありません。継続的な改善に向けて、実施後には効果測定を行い、PDCAサイクルを回しましょう。
効果測定とは、施策にかけたコストに対しての成果を図るものです。

効果測定を行う際には、以下の2点が重要です。

  • KGIに対しての成果を把握する
  • それぞれの施策に対しての費用対効果も同時に把握する

まず効果測定を行う前に、KGI(最終目的)だけでなく、各媒体からのインターン参加者数を測定し、効果を分析することが重要です。


次に、KPIに対して行った施策の効果検証を行い、効果が出た施策とその要因、効果が出なかった施策とその原因を特定します。この分析結果に基づき、費用対効果の高い施策にリソースを集中させ、効果の低い施策は見直しましょう。

また、SWOT分析で明らかになった脅威要素(外部環境かつマイナス要因)が施策の効果に影響していることも考慮する必要があります。例えば、競合企業のインターンシップ強化や、エンジニア就活生の更なる早期化などが考えられます。脅威要素を分析し、適切な改善策を立案しましょう。

まとめ

インターンシップを通して参加者にやりがいや良い印象を与えることで、自社の志望度を高め、業界理解を促進することができます。
一方で、エンジニア学生であっても技術レベルには差があり、目的設定によって募集内容が左右されます。

現状分析を元に、どの指標をKGI、KPIとするかは、企業の目的や課題によって異なります。自社のニーズに合った企画案を採用し、効果的なインターンシップを行いましょう。

※関連記事
エンジニア採用で人事が押さえておくべきこと


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楓 博光
楓 博光
株式会社サポーターズ 代表取締役 慶應義塾大学在学中に就活支援会社を創設し、人事ブログポータルサイトや就活イベントを運営。大学卒業後は大手広告代理店を経て、ベンチャー企業の採用担当として無人島インターンシップなどを生み出す。 2012年4月にITエンジニアのキャリアを支援する株式会社サポーターズを創業。これまでに約1000社の新卒エンジニア採用支援、約7万人の学生エンジニアのキャリア支援を行う。 著書『ゼロからわかる新卒エンジニア採用マニュアル』。

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